Q1 自己破産をすれば,債務は全て無くなるのでしょうか?
A 自己破産をして免責が認められれば,原則として債務支払いの義務はなくなります。
ただし,以下の債務については,免責されず支払い義務は残ります。
・ 税金等の公租公課
・ 婚姻費用,養育費などの扶養義務に基づく債務
・ 故意または重過失による不法行為に基づく損害賠償債務
Q2 実は借金の理由はギャンブルや浪費です。自己破産しても免責されませんか?
A 破産法では,ギャンブルや浪費等は,原則免責不許可事由といって,
免責が認められないとされています。
しかし,免責不許可事由がある場合でも,裁判所の裁量で免責を許可することはできます。
弁護士が代理人として申立をし,少額管財手続きにより,
破産管財人(自己破産申立人の資産・内容等を調査するため裁判所の選任する者)が,
免責不許可事由の内容や申立人の反省状況などを調査して,免責を許可する場合もあります。
実際は,最終的に免責が許可されるケースがほとんどです。
なお,弁護士が代理人となった場合の少額管財手続きのために必要な予納金は20万円です
(司法書士に依頼した場合は50万円)。
Q3 自己破産したことを,会社にも家族にも恋人にも知られたくありません。
伝わってしまうのでしょうか?
A 自己破産した場合,国発行の官報に氏名・住所が掲載されます。
ただ,官報を見ている方は一般にはほとんど居ないと思われますので,
官報から会社や家族,恋人に知られることはまず無いと思われます。
ただし,自己破産の申立の際に,家計全体の状況を説明する書面を提出する必要がありますので,
同居の家族に内緒で手続きを行うのは事実上難しいといえます。
Q4 自己破産をすると、全ての財産を取り上げられてしまうのですか?
A そんなことはありません。
家財道具など日常品の他一定の預貯金,現金についても手元に残すことができます。
ただし,所有不動産については,債権者への配当のため処分される場合があり,
生命保険に解約返戻金がある場合は,解約して返戻金を配当に充てることになります。
また,自動車などの財産をローンで買った場合,所有権留保特約という,
ローン完済までは所有権が売り主にあるという内容の契約となっていることが多いので,
引き上げられてしまいます。
Q5 高価な財産を取り上げられてしまうことのほか,
どのようなデメリットがありますか?
選挙権が無くなったり,住民票や免許証に記載されるというのは本当ですか?
A 弁護士,公認会計士,税理士,弁理士,公証人,司法書士,社会保険労務士,不動産鑑定士等の
士業や成年後見監督人,補佐人,遺言執行者などは,破産手続き中はできません。
しかし,免責許可決定が出されればこの制限は解除されますので,
実際の制限は2,3ヶ月間です。
選挙権がなくなる,住民票や免許証に記載されるということはありません。
Q6 自己破産をすると,銀行のキャッシュカードも使えなくなるのでしょうか?
A そんなことはありません。
その銀行が債権者の1人である場合,弁護士が介入通知を出した時点で口座が
凍結されてしまいますので,その銀行に関しては利用できなくなってしまいます。
なので,給与振り込み口座等メインバンクが債権者の1人である銀行の場合,
他行に口座を作り直していただくようご説明しています。
Q7 自己破産の手続きは,どのくらいの期間で終了しますか?
A 同時廃止手続き(配当すべき財産がなく,免責不許可事由もない)の場合,
裁判所の運用によりますが3,4ヶ月程度の場合が多いです。
管財手続き(配当すべき財産があるか,免責不許可事由がある)の場合は,
事案によりますが,さほど高価な財産が無い事案の場合,約6ヶ月程度で手続きが終わります。
不動産の競売などが必要な場合はさらに時間がかかります。
東京地方裁判所への申立の場合は,弁護士に依頼した場合は,
即日面接といって,申立の日当日から3日以内に弁護士と裁判官が面接をし,
直後に破産開始決定が出されますので,本人申立(司法書士に依頼した場合も含む)の場合に
比べて早期に終了します。
Q6 自己破産の手続きについて,弁護士と司法書士とどちらに頼むかで何が違いますか?
A 違います。
債務整理全般のQ6にも書きましたが,破産,個人再生の場合も,
司法書士には代理権がありませんので,本人が裁判所に行くことになります。
また,自己破産申立で管財事件となった場合,裁判所に納める費用(予納金)が
弁護士に依頼した場合は20万円なのに対し,
司法書士に依頼した場合は,本人申立と同じ扱いですので50万円となります。